「カフェ&アート AFF」のカフェのコツ|No.016
下高井戸駅から5分ほど歩いた場所にある『カフェ&アート AFF』は、2010年にオープンしたカフェ。オーナーの鮎川さんが、亡くなったお父様の夢を叶えようと始めたのがきっかけでした。お店で今のご主人と出会い、結婚と出産を経て現在も元気に営業されています。今年で開業10年を迎える鮎川さんに、長く続けていくコツをお伺いしました。
連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。
──10年近くカフェ運営をされているとのことですが、振り返ってみていかがですか?
もう10年ですねー。自分でもびっくりです(笑)本当たくさんの人に支えてもらいながら、続けられたと思います。結婚もして、二度の出産も経験して、何度か「あ~これはお店閉めないとかな」と思ったタイミングもあったんですけど、最後の最後に自分の母親をはじめ、周りの人が助けてくれて今も続けられています。感謝しないとですね。
──お店を始めたきっかけを教えてください。
父が病気になって、私が26歳になる頃に亡くなったんです。父は「定年退職したらみんなでドーナッツ屋さんをやろう」って夢を語っていたんですが、定年前にこの世を去りました。お葬式の日だったかと思いますが、導かれるように空き物件の貼り紙がしてある物件の前を通りました。「お父さんとお店やりたかったな…」と思ったその後、「私がお店をやらなきゃ!」って急に思ったんです。そこからは開業へのエンジンがかかって、一気にカフェ開業に向かって走り出しました。個人経営のお店との接点も多かったので、アルバイトさせてもらって修行を積みました。個人経営のお店での修行は開業後のイメージがつきやすかったのが大きかったですね。
──お父様の夢を叶えるための開業だったのですね。お店の看板メニューをはなんですか?
フードはチャイで煮出して作った『チャイカレー』が人気です。「この味を食べたい」とわざわざきていただけるお客様も多くて嬉しいです。飲み物は店名にも入っている通り紅茶が看板メニューです。「ここの紅茶を飲みたい!」と来てくれるお客様も多いです。中でもオリジナルブレンドティーは安定してご注文いただけています。コーヒーが一杯も出なくて、紅茶だけの日とかもあるんですよ。
──ティーアドバイザーの資格も持っているんですよね?
もともと紅茶好きだったのですが、「ティーアドバイザー」の資格は開業してから取得しました。オープン前からそれなりの知識はありましたが、プロとして提供するのであれば、お客様より知識がないとダメだ! と思い、必死に勉強して資格を取得しました。これは紅茶だけのことではないと思うんですけど、このメニューのこだわりが何で、どうして美味しいのかをちゃんとお客様に伝えられないとダメなんですよね。勉強して、資格を取れたことも自信にもつながったし、総合的に考えても良かったと思っています。
──自信はお客様にも伝わりますからね。10年営業してきた中で、宣伝などで効果があったことはありますか?
地道に続けること以外は特にないかな? お金をかけた宣伝活動もしていないし、映えるアイテムもうちにはないから(笑)。一人目の妊娠と出産の時に長い休みをいただいたので、一気にお客様が離れてしまったことがありました。せっかくオープンしてから地道に常連さんをつけてきたのに、とっても悲しかった。なので、2人目の出産の時は「できるときはなんとかして営業する!」と決めて、営業しましたね。そうしたら常連さんは事前に予約をしてくれたり、「今日はやってるんだね!」と言って来店してくれたり、とても嬉しかったです。結果、今でも常連さんでい続けてくれている方がたくさんいます。なので、どんな状況でも「続ける」ということはとても大事なことなんだなと感じました。
ちょっと話は変わりますが、出産時に休業したりしてもお店を続けられたのは、自宅が持ち家なので家賃がかからない、というのが大きいかもしれないです。店舗も自宅も家賃がかかる場所だと産休をとったり、自分のペースで運営するのは難しいと思いますね。また、開業資金についても、私は自分の貯金と母親に借金をして調達したので、返していくペースも調整できたし、子供ができてからもフリーランスで働いている母親と合同会社を作って一緒にお店を運営していく方向へシフトさせたんです。その点は本当に恵まれているなって思いますね。
──開業前に「もっとこうしておけば良かった」と思うことはありますか?
実際開業当時にこれが読めたかというと難しいかもしれませんが、「時代の流れ」を感じ取って、柔軟に対応できる店舗レイアウトにすれば良かったというところですかね。10年前にはまさかコンビニで美味しいコーヒーが100円で飲める時代が来るなんて思わなかったですから、テイクアウトに対する需要がここまで拡大するとは思わなかったんです。こんなに「歩きながら飲む」ことが主流になるなら、レジとキッチンを入り口近くにして、テイクアウト用の窓をつければ良かったとか思いますよね。今はUberを使ったりもしてますけど、時代がどう変化するか先読みしておくことは大切。何かあった時にフレキシブルに動ける店内にしておくのがいいと思います。
あと立地についてもよく考えた方がいいかも。このお店は大学が近かったので始めた頃は大学生が来てくれてたんですけど、大学の学食がリニューアルで充実して、お店にくる生徒さんの数がグッと減ったんです! これは思ってもいなかった。そもそも大学は休みも長いし、学生街で学生だけをターゲットにするのは気をつけた方がいいですね。
──学食のリニューアルで影響受けるとは…驚きです。カフェ運営で一番大変だと思うことはありますか?
「体力」と「精神力」ですね! このふたつをできるだけフラットに保つことが大変です。正直辛いことも多いですが、お店を始めなければ知り合えなかった人ともたくさん出会えたし、主人ともこのお店で出会ったので、楽しいこともたくさんあります。自由にできる分、大変なことと楽しいことは半々なのかな。でも現実的には大変なことの方が多い気がしますけど(笑)
──最後に、カフェオーナーを目指す方にメッセージをお願いします。
正直、簡単に「おすすめだよ!」とは言えないのが本音です。日々の売上を立てていくのは大変ですから。ただ、賃料が他よりも安いとか、家の家賃がかからないとか、そういうアドバンテージがあればやってみてもいいかなと思います。また、他の事業との相乗効果が高い業種だと思うので、組み合わせてみるのもいいと思います。わかりやすいものでいうと、ギャラリー事業とカフェのような。うちのお店でも親戚がやっている着物会社と提携して、着物の販売や着付け教室をやっていて、敷居の高いものを身近に感じてもらうという意味では、とてもうまくいってるなと思っています。ぜひ考えてみてください!
【カフェ情報】
手作りお菓子と紅茶 カフェ&アート AFF
http://kojincafe.com/cafes/aff/
http://cafe-aff.com/
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〒156-0044
東京都世田谷区赤堤5-26-9
電話:03-3321-7950
営業時間:平日 10:30~17:00/土曜日 11:30~19:00/日曜日 11:30~17:00
定休日:月・火曜日、祝日(不定休あり)
広さ:10.5坪
客席数:15席
スタッフ:1名