ブックカフェの運営を成功させるには?開業までの流れや1人経営のポイントを紹介

「将来は趣味の読書とカフェで誰かを喜ばせたい!」

そんな思いでブックカフェの開業を思い描いている人もいるのではないでしょうか。実際にブックカフェは近年人気でInstagramをはじめとしたSNSでもよく目にするでしょう。

ただし、開業するからには考えないといけないのが利益のこと。この記事では、開業に必要なお金のことから開業申請、売上やメニューについて、そして利益を出しながら1人で運営するために気を付けることについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

ブックカフェを開業するまでの流れ

ブックカフェを開くまでの流れは以下の通りです。順に詳しく解説していきます。

 

開業までの期間

やること

A

1年前から1年半前

①ブックカフェのコンセプト作り
②資金や返済計画を立てる
③開業への知識を蓄える

B

半年前

①物件を探す
②店舗の内装や設備を決める
③融資の準備をする
④メニューや価格の選定をする

C

2.3ヶ月前

①物件の契約をする
②融資の申請をする
③施工会社の選定をする
④インテリアや設備の選定をする
⑤仕入れ先の選定をする

D

1ヶ月半前

①助成金の申請準備をする
②チラシやHP、SNSを作成し、宣伝を開始する
③店名を決める

E

1ヶ月前

①助成金の申請をする
②資格の取得と営業許可を申請する
③仕入れ業者を決定する
④細かい備品の購入

F

10日前

①レセプションの開催
②プレオープンを実施する
③オープンのシミュレーションをする

A-①ブックカフェのコンセプト作り

まず、始めるのがブックカフェのコンセプト作りです。ブックカフェは大きく分けて以下の3つに大別できます。

  • カフェと新刊を扱う書店
  • カフェと古本屋
  • 本の販売はせず、閲覧のみのカフェ

自身がどの形態のブックカフェを開きたいのかを明らかにする必要があります。その次に考えるのがどんなお客様に来てほしいのかというペルソナ(ターゲット)の設定です。ペルソナによって用意する本の種類や、店舗の雰囲気も変わってくるでしょう。最初にペルソナを決めておくとその後はペルソナを中心に決めていけば統一感が出るため時間をかけて考えるのがおすすめです。

A-②資金や返済計画を立てる

ブックカフェを開業するのに必要な資金は最低でも500-1,000万円だといわれています。この金額の中に含まれているのは店舗を賃貸する初期費用として200-300万円、内装に500万、その他調理器具や本、食器、感染症対策費に予算と相談しながら割り振って揃えていく流れになります。

実際に開業してからすぐに利益がでるわけではありません。およそ半年くらいから利益が出ることを見込んで、家賃の10ヶ月以上の運転資金があるとよいでしょう。また、店舗の場所によっても大きく金額が変わってくるため、店舗決めは特に慎重に考えることが大切です。

A-③開業への知識を蓄える

独学での開業もできないことはないですが、方向性を誤ってしまうとうまくいきません。プロに習ったり、実際に開業した人から話を聞いたりして開業に関する知識を徐々に深めていきましょう。専門学校に通うのであれば、一般的には通信の場合で数万円から通学の場合は100万円程度かかります。

B-①物件を探す

ブックカフェを開業する場所についての目星を立てていきましょう。駅近であれば、その分来る人は多いですが店舗の家賃も高くなります。資金と相談しながら候補を絞っていくのをおすすめします。

B-②店舗の内装や設備を決める

店舗の雰囲気や、色味、机の数などイメージを徐々に固めていきましょう。実際に色んなブックカフェに行ってみたり、情報収集したりするのがおすすめです。

ブックカフェは落ち着いて本が読める空間が望ましいです。限られたスペースであってもプライベートな時間を楽しめるような机の距離感や心地よさを追求するのをおすすめします。ただし、欲張ってしまっては予算が上がっていくだけなので、譲れない部分を見つけられるといいですね。

B-③融資の準備をする

融資を借りる場合は、準備も始めていきましょう。準備には事業資金計画書がある方がおすすめです。書類の不備の可能性や準備不足で融資が下りるまでに時間がかかる場合があるため、余裕をもって進めましょう。また、融資の場合は利息がかかるということも念頭に置いておいてください。

B-④メニューや価格の選定をする

実際に売り出すカフェメニューやその価格の選定を行います。他のブックカフェとの差別化を図るためにオリジナルのメニューがあるといいでしょう。本や小説に載っている料理をアレンジしたものをメニューにするのも面白いかもしれません。

ブックカフェの場合は1人当たりの滞在時間が長くなりがちです。利益のためにも高級志向で、メニューやドリンクは高めに設定しておく方が安心でしょう。また、カフェの利益率は1015%といわれています。それに見合うように価格設定をしましょう。

C-①物件の契約をする

物件の契約も進めていきましょう。契約に必要な書類の提出などの作業があります。余裕を持って準備するようにしてください。

C-②融資の申請をする

融資を希望する人は申請作業を行いましょう。希望額を満たない場合もあるため、その場合に備えて他の資金調達方法についても調べておいて損はないかもしれません。現在はクラウドファンディングもありますので資金を募ってみるのも1つの手段です。

C-③施工会社の選定をする

店舗の内装の施工会社の選定を行います。施工会社の比較をしようとしても内装の条件が固まっていないと比較ができません。ある程度の条件を決めてからいくつか施工会社を当たってみるといいでしょう。

C-④インテリアや設備の選定をする

インテリアや設備の選定も始めましょう。リースにするのか、自身で用意するのか、方法もさまざまです。さまざまなサービスを比較してカフェのコンセプトが伝わるようなものを選べるといいですね。

C-⑤仕入れ先の選定をする

材料の仕入れ先がどこにあるのか、そしてどこにするのかについても検討していきましょう。食材の内容や事務用品で仕入れ先もさまざまです。漏れがないようにしておきましょう。

D-①助成金の申請準備をする

返済の必要がない助成金は活用するべきです。地域創造的起業補助金(創業補助金)、新規開業賃料補助金、IT導入補助金、新・ものづくり補助金など種類も多岐にわたります。

条件がある場合もあるため、どんな助成金の申請ができそうか洗い出しておき、必要な書類などの準備も進めましょう。

D-②チラシやHP、SNSを作成し、宣伝を開始する

ブックカフェの準備が進んできたら、お客様を店舗に誘導するための施策についても考えていく必要があります。近隣や高齢のお客様がターゲットで来てほしいのであれば、チラシの作成は有効でしょう。

広く宣伝したいのであればInstagramFacebookTwitterなどのSNSを作成するのをおすすめします。また、ブックカフェのコンセプトをうまく伝えられるHPを作成しておけばSNSから誘導することもできます。運用は大変ですがマーケティングのプロの力からアドバイスをもらうのも手です。

D-③店名を決める

店名については早い段階から考えていることもあるでしょう。施工の時期などもあるため、この時期までに確定させておくことをおすすめします。どうしても決まりそうにない場合は、施工業者にいつまでに必要が相談しておくことを推奨します。

E-①助成金の申請をする

この時期を目途に助成金の申請作業を行っていきましょう。実際に助成金が入金されるのは開業して数ヶ月後の場合が多いです。開業してからも新たに助成金が出てくる可能性もあります。情報には敏感になって、利用できるものは利用するように心がけておきましょう。

E-②資格の取得と営業許可を申請する

ブックカフェの形態によって必要な資格も変わってきます。飲食物の提供には保健所の許可、市販の菓子を提供する場合には喫茶店営業許可、店内調理する場合は飲食店営業許可が必要です。そして、調理をする場合には食品衛生責任者の認定も必須です。

また、古本を取り扱うブックカフェの場合には警察署で古物商の許可を取得しなくてはなりません。どんな資格が必要になるのかは事前に洗い出して置き、この頃までに取得するようにしましょう。

E-③仕入れ業者を決定する

この時期までに仕入れ業者を決定しましょう。合わせてどんなものを発注することになるのかも詳しいところまでシミュレーションできておくといいですね。

E-④細かい備品の購入

購入したものに漏れがないかのチェックと、万が一漏れがあった場合には早めに揃えるようにしましょう。

F-①レセプションの開催

関連の業者などを招待するレセプションを行いましょう。経費は必要になりますが、感想やアドバイスをもらえることもあります。貴重な体験になるため、運営のヒントを得られるような機会になるといいでしょう。

F-②プレオープンを実施する

プレオープンでは、当日に向けての導線の確認や、レジ操作に問題がないか、など確認しておくことが多くあります。また、メニューなどがきちんと目標のレベルに達しているかもチェックする必要があります。

F-③オープンのシミュレーションをする

プレオープンと合わせて、オープンしてからのシミュレーションはじっくりしておきましょう。特に1人で経営していく場合、トラブルはすべて自分で対処しなければなりません。事前にどんな問題が出そうか、そしてそれは解決できそうなことなのかといったリスクへのマネジメント作業も大切です。

ブックカフェを1人で運営していくうえで気を付けるポイント

カフェを1人で運営する場合は、自由度が高かったり、人件費はかからなかったりというメリットがありますが、一方で気を付けるポイントもあります。ここでは以下の3つに絞って紹介します。

  1. 買い出しなどの事前の準備は入念に行う
  2. サイドビジネスの検討も必要
  3. 自分の限界以上に働かない

順に解説していきます。

1.事前の準備は入念に行いましょう

1人の場合は営業中に材料に不足が出てしまうと、買い出しのために店舗を閉めなればなりません。その間営業ができないとお客様に迷惑をかけてしまうことになります。開業して、ある程度運営の仕方や1日にお客様がどのくらい来店するのかが掴めてきたら、材料や必要なものについて発注するタイミングのルールを作っていきましょう。

また、やむを得ず店を閉めなくてはならない場合はできるだけ速やかにSNSなどで報告するようにしておくとよいです。

2.収益の多角化の検討も必要

収益の柱を増やす方法として収益の多角化を考えるのもポイントです。トートバッグやマグカップといったオリジナルのグッズを販売するのも手ですが、空いているスペースがあるのであれば貸し出しスペースとして有効に使うのもおすすめです。

3.自分の限界以上に働かない

自分のキャパシティ以上に働かないというのも大切です。最初はある程度の無理ができても、それが毎日続いてくると心身に不調をもたらし、営業を続けられなくなります。

長く営業していくためにも自分の体力や心と相談しながら無理なく進めていきましょう。事務や経理の部分など店舗にいなくても人の力が借りられるような作業は任せるのも手段の1つです。

ブックカフェの開業には楽しむ気持ちと根気が必要!

開業までの流れや1人で経営する場合のポイントについて紹介してまいりました。開業にあたって、資金はもちろん必要ですが時間も同様に大切です。開業までの時間は1年以上と長く感じるかもしれませんが、あっという間です。開業までの期間、楽しむ気持ちを持ちながら余裕を持った準備を進めるのが重要です。

ブックカフェは本を落ち着いて読める空間として人気が高いです。お客様がリピートしてきたくなるようなブックカフェを開業できるよう、頑張ってください。

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