実は知らない?カフェと喫茶店の明確な違いを徹底解説!

みなさんはカフェと喫茶店に対してどんなイメージを持っていますか?
外見の面では「見た目や雰囲気の違い」で合っていますが、営業形態を決める「営業許可」では明確な違いが存在します。その違いを知っているとそうでないとでは、カフェ開業を考えている方が損をしてしまう可能性もあるので、きちんと理解していきましょう。
違いを知るために、カフェと喫茶店の定義や歴史についても絡めて紹介していきます。
カフェの見た目のイメージ
一般的にカフェのイメージは以下が多いのではないでしょうか?
・明るくおしゃれな店内
・一部にテラス席がある
・明るいカフェミュージック
・手軽に食べられるサンドウィッチなどおしゃれなメニューを扱っている
・お酒を提供しているところもある
カフェは内装やメニュー、音楽といった全体で雰囲気を創り出しており、そのモデルは欧米からきています。
喫茶店の見た目のイメージ
一般的に喫茶店のイメージは以下が多いのではないでしょうか?
・暗めの店内で重厚感を感じる
・昭和レトロな雰囲気
・歌謡曲などなつかしい曲が流れている
・ナポリタンなどの昭和メニューが楽しめる
・マスターといわれる店主がいてこだわりのコーヒーを一杯ずつ丁寧に淹れてくれる
・アンティーク調の家具が使われている
喫茶店によっては、気軽に入店できる場所と、常連が多く入るには少し敷居が高いように感じる喫茶店があるようです。
カフェと喫茶店の歴史について
喫茶店の方が、歴史が古いように感じるかもしれませんが、先に日本に入ってきたのはカフェでした。
カフェのはじまり
カフェのはじまりは、1888年(明治21年)に東京・上野に「可否茶館」という名前でオープンした複合カフェです。複合カフェというのは現在多く見られる、娯楽と一緒にした形態のカフェで、当時の日本ではあまり受け入れられずおよそ4年で閉店への追い込まれていくことになります。
閉店にはなりましたが、伝統を受け継いだ「カフェ・プランタン」などをきっかけに徐々にカフェが大衆に受け入れられ、ブームが到来します。
二分化が進んでいく
カフェが発展していく中で、「カフェー」と「喫茶店」と2つの呼ばれ方に分かれていきました。「カフェー」は女給によるサービスやアルコールの提供だけでなく、中にはキャバレーやバーといったものまで含まれていくように。それを発端に1929年(昭和4年)に取締例が発布され、数が激減していきます。
その一方でコーヒーや軽食を楽しむ場として「喫茶店」が日の目を浴びるように増えていきます。「純喫茶」という言葉は、お酒の提供はせずにコーヒーを楽しむ喫茶店として登場しました。
第一次世界大戦の影響でコーヒーが輸入されず下火になりましたが、戦後になると再びピークを迎えます。
カフェの台頭
喫茶店はオーナーの嗜好を反映した音楽系喫茶やジャズ喫茶、シャンソン喫茶などさまざまに分かれていきました。漫画喫茶が誕生したのは1970年代だといわれています。
バブル期に入ってくると忙しい時間を有効的に使おうという動きのもと、より安価で早く提供される形態を求められるようになります。それに応えたのが1980年(昭和55年)ドトールコーヒーショップの1号店です。
その形態は多くの人々に受けいれられ、カフェブームが起こり、コーヒーチェーンが一気に増え、カフェの多様化が進んでいきました。
現在もカフェは増加傾向にあり、もともとの意味での喫茶店は減りつつあります。それでも喫茶店は人々の交流の場として愛されていることは確かでしょう。
実際の定義
法律の観点からでいうとカフェと喫茶店には明確な営業区分の違いあります。「食品衛生法施行令第35条(営業の指定)」に基づく「飲食店営業」と「喫茶店営業」の違いです。
喫茶店営業許可の方が取得しやすいとされています。それぞれの形態の違いを紹介してきます。
アルコール提供の可否
営業区分上アルコールの提供ができるのは「飲食店営業」です。「喫茶店営業」では提供できません。もし喫茶店の中にアルコール提供をしている店があれば、飲食店営業許可を取得していることになります。
調理の種類が異なる
「喫茶店営業」では加熱調理などの単純な調理しか認められておらず、茶菓子などのシンプルなものになる場合が多いです。一方「飲食店営業」を取得している店舗では、加熱調理以外もできますのでパスタやワンプレート料理などの手の込んだ料理を提供できます。
設備要件にも違いがある
営業するための設備にも違いが見られます。「喫茶店営業」では、店内が清潔で衛生環境も良好で、給水と汚物処理が分かれていれば営業可能です。「飲食店営業」の場合は、調理が可能になる分、冷蔵設備・洗浄設備・給湯設備・客席・客用便所といった要件が追加されます。
迷っているなら将来を見据えて「飲食店営業」の取得がおすすめ
開業する中で、「喫茶店営業」の形態で今後も経営していくことが決まっていれば「喫茶店営業」になりますが、将来アルコールを提供したり、料理を出したりする可能性が少しでもあるのであれば「飲食店営業」の取得をおすすめします。
必要な設備が変わってくるため、開業する段階できちんと決めておくことが大切です。「喫茶店営業」を選択後に、“やっぱりアルコール提供や調理した料理を出したい”となった時には設備が入るスペースがなかったり、購入費用もかかってしまったりするケースもあるからです。
少しでも迷っている方は「飲食店営業」を取得しておくといいでしょう。
それぞれの楽しみ方
カフェと喫茶店の違いを紹介してきましたが、現在はカフェの中でも、よりコーヒーに特化したカフェやカフェスタンド、こだわりの有機野菜が食べられるカフェなど多様化しています。喫茶店も同様です。
そんなカフェ・喫茶店は店主のこだわりがあったり、音楽に特徴があったり、それぞれで違いもたくさんあります。“ちょっと時間があったから入ってみよう”という理由で利用することももちろんあると思いますが、店内の雰囲気や音楽のチョイスなどを意識してみるだけでも面白いでしょう。
特に、カフェ開業を考えている方は、色んな店舗に足を運んで参考にするのがおすすめです。喫茶店、カフェ問わず回ってみることで新しい発見やコンセプトが明確になってくるかもしれません。
まとめ
カフェと喫茶店の見た目や営行区分における違いについて紹介してきました。「喫茶店営業」と「飲食店営業」では可能なサービスが変わってきます。初期費用は高いですが、「飲食店営業」を取得しておけばできることの幅は大きく広がるでしょう。
カフェ開業を考えている方はそのことを踏まえたうえでどちらの営業形態をとるか、後悔しない選択ができるといいですね。