古民家カフェの内装・デザインの特徴まとめ!工事費用はいくら?
日本の伝統的な家屋である古民家を改装した「古民家カフェ」。
古民家特有の木のぬくもりや風合いを活かした空間で飲むコーヒーや紅茶は、洋式の喫茶店で飲むものとはまた違った趣があります。
また地方にある古民家カフェの場合、自然豊かなロケーションに囲まれた環境で地元の食材や手作りの郷土料理を提供することも。
そんな古民家カフェというサービス形態の根幹は、なんといっても温かみがあって風情溢れる内装です。
本稿では古民家カフェの内装・デザインの特徴について紹介します。
古民家カフェとして活用できる建物
多くの場合、古民家カフェは既存の古民家を再利用(リノベーション)して作られます。
そして一般的に古民家とは、建築されてから50年以上経っている住居のこと。
つまり2023年現在であれば、1973年以前に建てられた住居が古民家カフェになりえるということです。
しかし明確に基準があるわけではないので、内外装が古風な住居は全て古民家カフェの候補となるでしょう。
カフェ産業は2,000年代のブーム以来伸び続けているため、もしも対象となりそうな物件を保有している場合、開業または開業する人への賃貸を考えてみてもよいかもしれません。
古民家カフェの内装における5つの特徴
多くの古民家カフェには、共通した特徴があります。
内装における特徴を5つ紹介しますので、チェックしておきましょう。
自然素材を使用した内装や家具
古民家カフェの内装で用いられるのは、基本的に木材をベースとした自然素材です。
コンクリートは土間くらいにしか使われておらず、鉄製のものも多くありません。
仕上げについても木をそのまま出したり、漆喰など天然の素材を使ったりするため、化学物質による空気汚染のリスクを抑えられるでしょう。
天然の木や石を使った内装や、多少古めかしさも感じる家具によって、温かみのある空間が構成されている古民家カフェ。
結果として、コンセプトがバラつきやすい従来のカフェよりも統一感が出て、店舗として差別化も図れるのです。
自然に囲まれた環境や中庭が一望できる
古民家カフェは自然豊かな場所にできることが多く、自ずと内装もそれを活かしたものになります。
たとえば大きな掃き出し窓から中庭が一望できたり、開放的なテラス席から綺麗な草花を眺められたりなど、周囲の自然を活かした内装が特徴的です。
オーガニックやSDGsに注目が集まる昨今、自然環境に適合した古民家カフェは多くのニーズに応えられるでしょう。
伝統的な建築様式や文化に触れられる
昔ながらの日本の住居をモチーフとした古民家カフェでは、伝統的な建築様式や文化に触れることができます。
以前は木造建築といえば、柱や梁が主役となる「在来軸組工法」が主流でした。
そのため古民家と呼ばれる住居の多くは、柱や梁が剝き出しで木の温かみが感じられるようになっています。
しかし近年の木造住宅は、ツーバイフォーと呼ばれる「木造壁式工法」や、金物により空間を構成する「SE構法」といった方法で建てられるケースも増えたため、昔ながらの日本建築としての様式美を感じられないことも。
エキゾチックな海外文化も良いものですが、そういった日本古来の建築様式や文化に触れられるのは、古民家カフェにしかない特権です。
懐かしさがある静かで落ち着いた雰囲気
カフェ運営において収益を上げる大まかな手法として、回転率を高めて沢山のお客さんに利用してもらうか、1人あたりの客単価を高めるかの二つが挙げられます。
後者の場合は、空間や雰囲気といった居心地の良さにも配慮して、リピーターやファンを増やすことが重要です。
そして多くの古民家カフェでは、純喫茶でも感じられないような落ち着きを味わうことができます。
前述したような自然素材を用いている点や、日本建築としての様式美が合わさることで、多くの日本人が好む雰囲気を実現できるのです。
安定したカフェ運営をしたい人にとって、古民家カフェは良い選択肢だといえます。
インスタ映えするような趣向
最後に、古民家カフェの内装における特徴としてインスタ映えするような趣向があることが挙げられます。
和風の部屋と洋風の陶器による「和風モダン」な空間は、誰しもついつい写真に撮りたくなるものです。
また写真に撮られるということは、SNSに載せて拡散される機会が増えることに繋がります。
SNSの利用数が高まり続ける現代において、シェアされやすいというのは古民家カフェの強みだといえるでしょう。
古民家カフェの内装をデザインするポイント
古民家カフェの内装をデザインするうえで、留意すべきポイントが5つあります。
雰囲気を損ねないためにも、間違いなく押さえておきましょう。
不便さは解消しておく
古い家屋を再利用することが多い古民家カフェでは、昔ながらの不便さが残っていることがしばしばあります。
たとえば床が全て板張りもしくは畳だったり、トイレが和式だったりなど。また断熱材が少ない、雨漏りをしているなどの欠損もあるかもしれません。
いくら表面上の居心地が良くても、要所要所に不便さがあるとお客さんは寄り付かないです。
空間デザインの際は、そういった不便さを解消するようにしましょう。またバリアフリーの観点から、段差を無くすことなども重要なので忘れずに。
レトロな雰囲気を壊さない
不便さは解消すると上述しましたが、便利さや機能性を突き詰めていくと現代のデザインにたどり着きます。
たとえば床鳴りを抑えることを追求したら床はフローリングやタイルになりますし、空調効率を重視したら壁や天井にはパネルを貼ることになるはず。
しかし、せっかく古民家カフェを選んだのに、強みであるレトロ感が無くなっていてはもったいないです。
どうしようもない不便さは解消しつつも。レトロな雰囲気は壊しすぎないように注意しましょう。
雰囲気を損なうような機械設備も、できるだけ見えないようにすることをおすすめします。
照明は電球色がおすすめ
古民家カフェの照明ですが、暖色系である電球色のものがおすすめです。
色温度が低いオレンジ系の光は、落ち着いた和風の空間と相性抜群。
一方で色温度が高い昼光色の光は、落ち着きというよりも爽やかさが勝ってしまい、古民家カフェとは合いづらいです。
もちろん、組み合わせの妙でうまくいく可能性も少なからずありますが、失敗したくないのであれば電球色の照明を使うのが無難でしょう。
家具などの調度品は部屋の古さと揃える
家具を始めとする調度品については、部屋の古さを基準に選ぶのがベストです。
年代やデザインがそれぞれで異なりすぎると、ゴチャゴチャとした印象になってしまうので要注意。
もちろん、部屋の雰囲気に統一しすぎても店舗感が薄れてしまうので、良い塩梅で組み合わせることが大切です。
自力でのデザインが難しい場合は、空間デザイナーに外注するのも一つの手でしょう。
実家感が出すぎないように注意
最後に大切なのが、「実家感」が出すぎないようにすることです。
古民家カフェの特性上、どうしても住宅っぽさが出てしまいます。
古めかしさもある分、なかには実家のように感じてしまって、飲食店として意識できないという人もいるでしょう。
しかし、実態は言わずもがなカフェであるため、飲食をするお店であるとお客さんに意識させるのは必須事項です。
調度品や店舗ロゴの見せ方、BGMなど様々な要素を駆使して、実家感が出すぎないように気をつけてください。
古民家カフェの内装工事にかかる費用相場
古民家を再利用する古民家カフェでは、内装工事に坪単価50万円ほど必要になります。
一般的なカフェの内装工事費用が坪単価40万円程度で済むことを考えると、多少割高に感じますね。
理由としては、築年数が経っているゆえに修繕費用がかさむことが挙げられます。
また、建築物は基本的に最初から組み込むよりも、既存のものを変更する方が難しいです。
トイレをウォシュレットにしたり、キッチンを最新のものに変えたりなど、色々手を入れることによって金額が上がっていきます。
ただし一方で、古民家カフェは既存の住居を再利用する分、土地や建物の購入費用を抑えられます。
テナントを借りるわけではないため固定資産税はかかるものの、築年数がそこそこ経っているためそんなに高額ではありません。
そういった物件取得にかかる諸費用を浮かせられるため、実際のところは一般的なカフェと大きく工事費用は変わりません。
風情溢れる古民家カフェで差別化を図ろう
各地域に様々なカフェがある昨今、カフェ開業においては「どのようなコンセプトにするか」が重要なポイントです。
多くのカフェが独自の色を出すことに苦労する中で、古民家カフェはそもそものコンセプトがとても濃いため、比較的簡単に差別化を図ることができます。
さらに地域ごとのメニューを取り入れれば、唯一無二のサービスを提供できるでしょう。
カフェ開業においてオリジナリティにこだわりたい方は、ぜひ古民家カフェを検討してみてください。