「cafe de 映水庵」のカフェのコツ|No.015

JR両国駅から歩いて10分弱。『cafe de 映水庵』は、32年この土地で続いている老舗のカフェです。名前の通り、お店の窓にはゆったりとした水面が映り、ついつい長居したくなる素敵な雰囲気のカフェです。6年前から現オーナーである武部さんがお母様から運営を受け継いで、美味しい旬の手作りスイーツが楽しめるカフェを運営しています。お店ができた頃はまだ小学生だったという武部さんに、カフェを長く続けるコツをお伺いしました。

連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。

──カフェを始めたきっかけを教えてください。

このお店は、私の母が32年前に自宅の1階でスタートさせました。このビルを設計していただいた設計士さんに、1階を飲食店にしてはどうかと勧めていただいたことがきっかけです。
設計士さんが建物に名前をつける方で、その名前が「映水庵」。カフェもその名前をそのまま使わせてもらって「cafe de 映水庵」にしました。狭い店内でも気持ちよく過ごしてもらえるように、天井が高くひとりひとりの空間を大切にしたお店を作ってもらえました。壁はもちろん、椅子やテーブルまで当時のままです。

──すごいキレイに保ってますね!武部さん自身はいつからお店をやられてるんですか?

母の手伝いとして一緒にやっている時期もありましたが、母が高齢になって営業を続けていくことが大変になったので、6年前に引き継いでオーナーになりました。そこから1人でお店を運営しています。ただ、最初は母にもお店を継ぐことに反対されましたね。1人でカフェを営業することの大変さを知っていたんでしょうね。

──なるほど。お母様と一緒にやっていた頃と、現在ではどんな違いがありますか?

時代もあったと思いますが、母と一緒にやっていた頃はランチタイムが大盛況で、2階も客席にして運営していた時期もあります。2人いたのでマルシェに出店したり、通常営業以外にも色々とやっていましたね。引き継いでからは1人なのでそこまで手が回らなくなりました。「どうして私だけがこんなに忙しいの?」と正直カフェ運営を楽しめなかった時期もありました(笑)。週6日営業して、家に帰ったら子育てと家事…心も体も余裕がなかったんですね。
それでも、引き継いでオーナーになったからには今までと同じように営業しないといけないと思って必死にやっていたんですが、ある時「自分が楽しめていないようじゃお客さんも楽しませられない!」と思って、2019年の春から木・金・土曜日の週3日間営業に変えました。変えたばかりの頃は、「週3日しかやっていないんだ」って言われるのが辛かったんですが、今はそれも気にならないくらい、自分らしく働けるようになりました。

賃貸物件じゃないからできることかもしれませんが、週3日間営業にするという決断は本当良かったと思っています。勇気がいる決断でしたが、無理して営業してお店の質が落ちていく方が苦しかったんです。今は、週6日間やっていた時よりも、質の高いサービスを提供できるようになりましたし、食材ロスも減り効率もアップしました。お客さんも3日間に集中してきてくれるので、売上も安定してきたと思います。

──自分の心も体もひとつしかありませんからね。バランスは大事です。お店を引き継ぐ前にはどんなお仕事をされていたんですか?

以前はずっとインテリアや雑貨を取り扱う仕事をしていました。

──雑貨屋さんをやるという選択肢はなかったんですか?

「理想」と「現実」は違いますからね。現実をよく知っていたからこそ雑貨屋さんをやろうという気持ちにはなりませんでした。思っているより重労働ですし、インターネットでなんでも買えるこの時代に雑貨屋さんで利益を出すのは本当に難しいです。
これからカフェをやる人も「理想」だけで進めるのではなく、まずはある程度「現実」を知った方がいいと思います。それでもやりたい!って思える人は開業しても続けていけるんじゃないかなと思います。

──本当そうですね。「現実」を知ることは大事です。お店をやっていて楽しいことはどんなことですか?

シンプルに私が作ったものをお客さんに美味しそうに食べてもらえることですね。あとはお客さんと話している時間かな。たわいもない会話をしているだけで、とても楽しいです。
母がやっていた頃は母のカラーのお店だったので、そのカラーが好きなお客様が集まっていました。なので、私が引き継ぎたての頃は苦労しましたね。来なくなったお客さんもいます。でも私が母のカラーを出そうとしても出せるものではないので、私のカラーのお店にしていけるように自分らしく6年間やってきました。これからも私カラーを好きになってくれる人が増えていくよう頑張っていきたいです。これから開業される方も、自分のカラーが光るカフェを作り上げて欲しいですね。

──最後に、これから開業される方へメッセージをお願いします。

私は自分で物件を借りてカフェを借りる方と比べれば、条件的に特殊な例かもしれませんが、6年やってきて思うのは、そんなに甘くないぞ!ということ。そのあたりを始める前にわかっておくことが大事だと思います。さっきもお話しましたが「現実」をある程度知っておくことです。もちろんお金だけじゃない部分もありますが、最終的にはカフェもビジネス。憧れだけではこなせないことをしっかり理解して始めた方が絶対いいと思います。頑張ってください!

【カフェ情報】
cafe de 映水庵
http://kojincafe.com/cafes/eisuian/
https://www.instagram.com/eisuian/

────
〒130-0025 
東京都墨田区千歳1丁目3−3
電話:03-3634-9525
営業時間:10時〜17時
定休日:日曜日〜水曜日
広さ:8坪
客席数:9席
スタッフ:1名

開業無料相談のお申し込み・お問い合せはこちら
 
 

関連記事一覧