「cafe Stay Happy」のカフェのコツ|No.024

きっと世界中を探してもこんな珍しい経歴のオーナーさんはここにしかいない! と思える下北沢の『cafe Stay Happy』。なんとオーナーのKuratoさんは、世界三周した後、カフェをオープンさせています。19歳から旅を始め、企画系のお仕事をしながら27歳で世界一周とカフェ開業を決意。30歳になってから世界中を旅して、2010年に『cafe Stay Happy』をオープンさせました。思いを持ち続ける強さやカフェ運営の楽しさをお伺いしました。

連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。

──カフェを始めたきっかけを教えてください。

私は昔から旅が好きで、19歳から旅を始めて色々な国をめぐるうちに、27歳の時にはなんとなく「最終的にはカフェやりたいな」と思っていました。それまで企画系の仕事をしながら休みを使って旅をしていたんですが、30歳の時に世界一周の旅に出かけたんです。いつかカフェをやりたいという気持ちがずっとあったので、旅しながら各地のカフェを研究したり、こういう雰囲気がいいなとか、メニューやサービスのここを真似しようとかイメージを膨らませていました。ちょうどブラジルにいるときに、「カフェを本当にやろう!」と決めて、そこからは行く先々で「2010年にカフェを開くから遊びにきてよ」ってブログのURLを記載したカードを配りまくったんですよ(笑)。なので何としても2010年にオープンしようと必死で頑張って、なんとか2010年12月18日にオープンすることができました。

──すごい行動力ですね!

実際、ブログでオープンを知ってきてくれた友人もたくさんいました。本来なら旅行で出会っただけの縁だったけど、なんだか心が繋がったように感じて嬉しかったですね。ちなみにここの内装も、ロシアで出会った大工でアーティストの友人と一緒に住み込みで完成させたんですよ。

──何から何まで驚くようなエピソード! とても広いし天井も高い空間ですが、元々はどんなお店が入っていたのでしょうか?

昔は、このビルのオーナーさんが洋食屋さんをやっていました。オーナーさんが亡くなられてからはお店を閉めてテナント貸しするようになって、僕たちが入る前はバーが併設された建設事務所が入っていました。僕たちが“やぐら”と呼んでいる冬はこたつ、夏はハンモックを設置するエリアは壁で仕切られていて、部屋になっていたんですよね。ここの壁を全て取ったことで開放感がでて、ロフトのようにしたので延べ床面積も28坪くらいに広くできました。個人店が多いと言われる下北沢でも個人店の中では一番くらいの広さだと思いますよ。 

──確かに延べ床面積30坪は個人店ではあまり聞かないサイズですね。

みんな10坪くらいを狙いますけど、カフェはキャパ商売。8席しかなかったら、すぐ満席になっちゃうし、お客様に「ごめんなさい」って帰ってもらうなんてもったいない。もちろん何もしなければ人は来ないし、「そんな家賃は払えない」って尻込みする人も多いですが、どうやったら利益が残るかきちんと計算しないと。僕だって、最初は思うようにいかなかったし、正直もっと最初から流行ると思っていました(笑)。営業時間を変更したり、メニューと真剣に向き合ったり、試行錯誤をしながら今にたどり着いているんです。やりきる気持ちとやれる自信がないなら、開業しない方がいいですね。

──自信のなさはお客様にも伝わりますからね。Kuratoさんがお店をやっていく中で心掛けていることを教えてください。

オーガニックの美味しい食事を提供することがベースにあります。奥さんはOLとして働いていましたが、僕がカフェをやる! と決めてから料理学校に通い始めたり、オーガニック料理店のキッチンでも働いてくれて、そこから独立しているのでどのメニューも自慢できるものです。野菜は育てている農家さんの畑に足を運んだ上で、仕入れています。添加物も使っていないし、遺伝子組み換え商品も使いません。ビーガン対応メニューも特に外国人の方のニーズは高く表示で分かるようにしています。ただ、健康志向の方と動物愛護や宗教上の理由の方では温度差があるし、完全ヴィーガンの方はお肉を提供している店には来店しません。だからあまり神経質にならず、なるべく体に優しいものをという姿勢でヴィーガンを捉えている方に来てほしいと思っています。

──“寛容さはカフェをやっていく中でもキーワードかもしれませんね。

あと、お店のコンセプトでもあるのですが、どんな人とも「フラット」に接することも大切にしています。僕、お客様ともタメ語でお話しちゃうんですよ。 

──そうなんですね(笑)でもKuratoさんだから許せちゃうような雰囲気があります。

リピーターになってくれる人は、それを良いと思ってくれる人。フラットになりすぎて、「あれ? 名前なんだっけ?」なんてこともよくありますから(笑)。これは10年前から変えていないし、旅をしている時からこんな感じです。ハンモックやコタツカフェを目掛けて初めて来店するような若い子の中には、コーヒー一杯で何時間も居座るような人もいますが、そういう子にもお店のコンセプトや大事にしていることをちゃんと説明します。これはお店の経営というこちら側の理由で言うのではなくて、お客さんも一人の人として他人や回り、当然お店も含めて気を遣える人になってほしいという気持ちから伝えています。それは実際その方が幸せになる上で大切なことですから。

──すごい。なかなかそこまで言えないですよね。

うちほど言うお店も他にないと思いますよ(笑)。それに、言われるのが嫌だと感じる人はもう来ないでしょうから。このカフェのコンセプトとか雰囲気と「合う人」っていうのは本当限られていると思うんですよ。でもね、限られた人たちだけでも採算はあうんです。中途半端に新規のお客様に合わせたりしない方がいいでしょうね。

──なるほど。お店の宣伝はどのようにされていますか?

昔、電柱広告をやってみたくてやってみたんですけど、外国人がひとり「看板見てきました」って来てくれたからそれで満足して辞めちゃいました(笑)。やっぱり費用対効果が見えないものはやらないですね。効果があると実感したのは、口コミとかまとめ系サイトですかね。お店からの情報発信は、Facebookとインスタグラムだけですが、使い分けています。インスタグラムもプロのカメラマンが撮影してくれた写真を使っているので、一般の方がタグづけしてアップしてくれた写真と並んだ時にちゃんと差別化できるようにしているんです。 

──公式写真がしっかりした投稿だとそれだけでも行ってみたくなりますよね。

今は、コロナの影響もあってほとんど実施できていないですが、イベントもやっていました。でもイベントをやらないと成り立たないような経営はしていません。美味しいメニューと、コンセプトが根本にないといけないでしょうね。

──おっしゃる通りですね! 最後になりますが、これからカフェを開業しようと思っている方にメッセージをお願いします。

カフェは人から見える仕事だし、お洒落でカジュアルでお気楽な仕事だと思われていると思います。脱サラしてやりいたい職業の上位にもなるし、実際気軽にはじめられる方が多いのも事実です。それだけに競争率が高い仕事だと思えばそれなりに準備や経験、センスを磨いとかないと続けていけません。独立というのは開業ではなくて持続させることが一番の仕事です。その持続に最も重要なのは集客なんです。ほとんど仕事は集客と言っても言い過ぎではありません。でもそれができるということはたくさんの人に自分達のパフォーマンスが受け入れられ、その証として売上があるんです。だから自分の強みは何なのか、自分にしかできないものは何かを客観的に見つけることが大事だと思います。

【カフェ情報】
cafe Stay Happy

http://kojincafe.com/cafes/cafe-stay-happy/

http://cafestayhappy.com/
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〒155-0032
東京都世田谷区代沢2-29-14-2F
営業時間:13:00〜22:00(日曜のみ 21:00まで)
電話:03-3410-5959
定休日:毎週火曜、第2水曜定休
広さ:約22坪
客席数:25席
スタッフ:基本2名体制(週末にアルバイト数名)
※ 現在営業時間が通常時と異なっております。詳しくはcafe Stay Happyさんのホームページ等でご確認ください。

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