「yurucafe」のカフェのコツ|No.009

2009年にオープンした「yurucafe」は、江戸川橋で設計事務所に勤めてた際に「事務所の近くにカフェがないから作ろう!」と開業したカフェでした。当時から店長を務めていた中澤宏仁さんが2013年からオーナーとしてお店を引き継ぎ、2016年12月から豊島区雑司ヶ谷にお引越し。現在のお店は中澤さんご自身が設計して、水道、ガスもないスケルトン状態からお店を作り上げたそうです。移転に関すること、好きなことをしながらカフェ運営をするコツをお伺いしました。

連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。

──お店のコンセプトを教えてください。

コンセプトは『幅広い人に近い存在で、日常にあり街に溶け込んでる感じ』ですかね。 雑司ヶ谷に移転して、このコンセプトに合ったお客さんが増えたような気がします。ファミリーでお越しいただく方も増えましたし、ご近所の常連さんにも親しんでもらえています。この前も「うちの包丁の切れ味が悪くて」って包丁を持ってこられたお客様がいたので、研いであげました(笑)。他にも「パソコンがわからないから教えて欲しい」というおじいちゃんがパソコンを持ってやってきたり、いろんなお客様と一緒に楽しくやっています。

──いい関係が築けているんですね。移転するきっかけはあったんですか?

元々最初のお店は定期借家で退去しなければいけない物件でした。なので、常に居抜き物件サイトなどを見て探していたんですけど、なかなかいい物件に巡り合えなくて。そんな中、住宅がメインで掲載されている賃貸サイトを見ていたら「倉庫」として出ていたこの物件を発見したんです。元々飲食可の物件ではなかったのですが、大家さんにお話をしたらなんとOKをいただいて、借りられることになりました。そのほかにもカレーはNG、夜のアルコール提供NGなど、厳しい条件もあったんですが、今までの経緯やこのお店でやりたい事業計画を丁寧にお伝えしたら全て了承いただけて、無事移転できました。大家さんには本当に感謝しています。

──想いが伝わったんですね!店舗設計はご自身で?

設計事務所で働いていたので、その経験を生かして設計は自分で行いました。あと塗装したり、内装の部分でできることは自分でやったので、元々トイレも何もないスケル トン状態の2階建倉庫物件でしたが、知り合いの工務店さんにお願いして500~600万円くらいの費用で作り上げることができました。

──2階はどのように使われているんですか?

お客様が多い時には2階も客席として使ったりしますが、基本的にはレンタルスペースとして貸出を行っています。1ヶ月のうち3分の1程度はご利用いただけている状態です。お店主催でも月に1回「ゆるいえいがかん」というスクリーンを広げて10~20名くらいで映画を観るイベントを実施しています。先日、お寿司に関する映画を上映して、僕が15人分のお寿司を握りました(笑)。映画のセレクションは別の方にお任せしているんですが、毎回素敵なチョイスで、僕もお客様と一緒に楽しませてもらっています。

──中澤さんがお寿司を握ったんですね!(笑)外部のイベントに出店したり、この場所以外で取り組まれていることはありますか?

本当はイベント出店とかもしたいなと考えてはいるのですが、お店の近くにある鬼子母神と大鳥神社で毎月1回「手創り市」というイベントが開催されていて、その日は毎回驚くほどお客さんが来てくれます。それ以外でも比較的土日祝日の来店が多いので、今はイベ ント出店などはできていません。 江戸川橋のお店の時は平日の来店が多く、逆に土日はお店が空いていたので、イベント出店もしていましたね。 立地によってこんなにも違うのかと実感しています。

新宿とか池袋のような何もしなくても「人」が集まる繁華街と違って、雑司ヶ谷みたいな街は目的がある人か、地元の人しか来ないですよね。うちはあえてそういう立地を狙ったということもありますけど、これから開業する人は、お店のコンセプトと立地が本当にあっているかはしっかり考えた方がいいと思います。

──立地によって左右されることは大いにありますね。 

人口自体は少ないですが、こういう地域って、お客さんが口コミでお店の魅力を発信してくれるし、常連さんになってくれる可能性はとっても高いんです。あと、自分の子供が保育園に通っているんですけど、その保育園のママさんが遊びにきてくれたり、僕は子供の頃からずっとサッカーをやっていて、営業時間外に子供や大人にサッカーを教えているのですが、その生徒さんたちがお店に来てくれたりと、カフェ以外で知り合った人がお店に集まるっていうのはとても嬉しいし、楽しいですね。

ただ飲食店の運営に関しては「孤独」に悩むことが多いです(笑)。正解があるものではないから、どういう運営をしているのか、仕事の悩みを共有できる場が欲しいと思う時はありますよ。

──「孤独」とおっしゃるオーナーさんは多いですよね。 ではカフェ運営の中で楽しいと思えることはどんなことでしょうか?

お店の名前通り、ゆる~くやらせてもらっているので、「面白そう!」って思ったことをその場のノリでできちゃうのは楽しいところですね。先ほどお話しした「ゆるいえいがかん」もそのひとつですが、年始に近所の方から杵と臼を借りて「餅つき大会」をやったり単発のイベントもたくさんやっているんです。365日同じことしていると自分自身もお店もマンネリになるから、思いつきですぐに何かできるっていうのは楽しめるコツかもしれないですね。

カフェ=飲食店ってなるんじゃなくてまちにひらかれた『場』みたいな感覚もあります。

──最後に、これから開業したい方へメッセージをお願いします。

「やりたい」って思うことを突き進めて欲しいですね。 やりたいけど「お金がないから」「経験がないから」「時間がないから」と、何も行動せずにすぐに諦めてしまう人も結構いると思うんですが、“ない”ならないなりに実現できることっていっぱいあると思うんです。 自分への戒めでもありますが、「やりたいな~」とぼやいてばかりで、本当にやりたいことを後回しにしていることって結構あって。できないかもしれないけれど、あえてそこに飛び込む。始めちゃったらやるしかないですから。頭の中で考えているだけじゃなくて、 1つずつ行動に移すっていうのは大事なことだと思います。

【カフェ情報】
yurucafe(ユルカフェ)
https://kojincafe.com/cafes/yurucafe/
http://yurucafe.net
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〒171-0032 
東京都豊島区雑司が谷3-10-6
電話:03-6907-0229
営業時間:【月火木土日】11:00~22:00【水金】11:00〜16:00
定休日:不定休
広さ:約18坪(1、2階合計)
客席数:1階15席/2階15席
スタッフ:2名(夜は1名で運営、繁忙期は3名体制)

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