「Roof Okurayama」のカフェのコツ|No.012

東急東横線・大倉山駅近くに、ご夫婦が週4日営業している自宅カフェ『Roof Okurayama』があります。自宅として建てた一軒家をリフォームして作ったお店です。カフェを始めたきっかけやこれからについてオーナーである菊池稔さん、恵子さんご夫婦にお伺いしました。

連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。

──お店を始めたきっかけから教えてください。

恵子さん)15年くらい前から「退職したらどうしようか」なんて話を夫婦でよくしていたんです。自宅で何かできればいいなとぼんやり思いながら、私はパン教室に通ったり、主人はコーヒーの淹れ方を勉強していました。うちには娘がいるんですが、カフェで勤めていたことがあったので、一緒にカフェでもやりたいなという想いもありました。6年前に2人共退職し、娘に子供が生まれて一緒にいる時間が増えたこともあり、「やるなら今しかない」ということで、娘にも手伝ってもらいながらカフェをオープンさせました。

稔さん) 会社を辞めてからは毎朝ハンドドリップでコーヒーを淹れていたのですが、実際にお店を始めるならプロにしっかり教えてもらわないといけないと思い、講習を受けて勉強しました。コーヒー豆を仕入れている地元の人気店テラコーヒーさんにも美味しい淹れ方を直接教えてもらったんですよ。

──地元で美味しいコーヒー豆を仕入れられるのはいいですね。では、お店のコンセプトを教えてください。

稔さん) 高台にある自宅を改装して作ったので、この眺めや雰囲気を楽しんでもらいたいと思っていて、「ゆっくりこの場所を楽しんでもらう」ことをコンセプトにしています。私たちは二人とも建築関係の仕事をしていたのですが、元々出窓だった部分をカウンターにしたり、ウッドデッキを作ったり、2人で一緒に考えながら工夫して作り上げました。カフェスペースは靴を脱いで上がってもらうので、お家にいるような感覚でくつろいでもらえればと思います。 

──自宅カフェを作るにあたり、保健所の検査で大変なことはありましたか?

恵子さん)保健所で決められた要件に沿ってリフォームしたので、大変なことはあまりなかったですね。厨房については、システムキッチンを入れ替えましたが、床もそのままですし、ほぼ家庭用のキッチンと変わりません。自宅用とカフェ用のキッチンを分けないといけないので、自宅用としては2階に簡単なキッチンを新規で作りました。また、手洗い器は店内とキッチンに2ヶ所新設しました。

稔さん)どちらかというと外壁の修理やテラス席を作る方がお金がかかったよね(笑)。

──そうなんですね。どのようなお客様が多いですか?

恵子さん)子連れのママさんが多いですね。靴を脱いで上がるので、特にハイハイできるようになったくらいの小さなお子さん連れには過ごしやすい空間だと思います。平均的にお客様の滞在時間は長くて、3~4時間いらっしゃる方もいるのですが、混雑している時はお客様同士で気を遣っていただいているので、こちらからお時間をお知らせしたりはないですね。

──いい関係を築けていますね。看板メニューはなんでしょうか?

恵子さん)オープン時からずっと手作りワッフルを提供しています。中に具が入っている珍しいワッフルも作っていて、これは私が通っているパン教室の先生のオリジナルレシピを教えてもらいました。甘いワッフルと甘くないワッフルの4種類を提供しています。

──雑誌などのメディアでも取り上げられていますが、宣伝活動で一番効果があったと思うことは何ですか?

稔さん)そうですね、実は自分たちで宣伝しているものって特にないんですよ。口コミサイトなどもお客様が写真を撮って掲載してくれているので、私たちはノータッチ。強いて言えば、オープン時から続けているブログですかね。直接宣伝には繋がらないかもしれないけど、「継続は力なり」ということで、妻に毎日書いてもらっています。ワークショップのこととか、イベントの予定とか、時にはプライベートなことまで投稿していますね。

恵子さん)雑誌の取材などもいくつかしていただきましたが、一番効果が大きかったのはオープンしてすぐに掲載していただいた東急沿線向けのフリーペーパー『SALUS(サルース)』ですね。その時は知り合いにお手伝いをお願いするくらい大変でした。実際、集客効果は一時的なものではありますが、この前もテレビの取材をいただきましたし、定期的に雑誌やテレビに取材していただけるのは有り難いですね。

──カフェを続けていく中で大変だと思うことはどんなことですか?

恵子さん)一番大変なことは、お客様の数が見込めないことです。6年以上やっていますが、まだ全然わかりません。客数が見込めないと仕込み量が読めないので、困りますね。その日にたくさんお客様が来たからといって、翌日全く来なかったりするので、食材ロスを極力出さないことを考えたメニュー作りが本当に大変です。 

──数が読めないのは本当大変なところですよね。収益の多角化で取り組んでいらっしゃることはありますか?

恵子さん)月に一回はワークショップの開催をしています。講師の方にスペースをお貸しして行う形態です。集客については、講師の方に「ご自身でしっかり集客してくださいね」とお伝えしてます。毎月続けていただける講師の方もいますが、お店からの集客を期待していたけど集まらなかった…という方も多かったので。あと、収益の多角化でいうと雑貨の販売と、書籍の販売ですね。書籍は絵本を中心に古書販売「フローベルグ」さんにセレクトしていただき、季節ごとに本を入れ替えてもらっています。

──カフェをやっていて楽しいと思う時はどんな時ですか?

恵子さん)少しずつでもお客様が増えてくれることですね。毎週来ていただけている常連さんとか、親しくなって色々なお話ができるのは嬉しいですよね。

稔さん)たくさん人が来るような立地ではありませんが、お店のことを好きになってくれる人がいてくれるだけで嬉しいです。細く長くやっていけるお店を目指しています。

──最後にこれから開業したいという方にメッセージをお願いします。

稔さん)集客できる「魅力」をしっかり考えてから開業してほしいですね。わざわざ行きたい理由があるお店にしないと個人店は難しい。僕たちは自宅カフェだし、年齢的にもカフェの利益を生活の軸にしているわけじゃないけど、カフェの利益を生活の軸にするならコレという魅力は絶対必要だと思います。

恵子さん)あとはオーナーさん自身が楽しむことでしょうね。自分たちが楽しくないとお客様も楽しい雰囲気にはなれませんから。お客様を通じて、自分の世界が広がっていくのはとても楽しいですよ。

【カフェ情報】
Roof Okurayama(ルーフ大倉山)
http://kojincafe.com/cafes/roof-okurayama/
https://www.okurayama-roof.com/
────
〒222-0003 
神奈川県横浜市港北区大曽根1-2-2
電話:045-716-9063
営業時間:11時〜18時
定休日:日曜日・月曜日・木曜日
広さ:店内8.5坪/テラス10坪
客席数:店内13席/テラス10席
スタッフ:常時2名

開業無料相談のお申し込み・お問い合せはこちら
 
 

関連記事一覧