「GLOBE COFFEE」のカフェのコツ|No.023

西小山の商店街を抜けた閑静なエリアに佇む『GLOBE COFFEE』。焙煎したコーヒー豆の販売とカフェを運営しています。オーナーの増本敏史さんは、会社員をしながらコーヒー焙煎の修行をし、2016年2月に今のお店をオープンさせました。修行中のお話から、カフェ運営で心がけていることなど、開業のヒントになるお話をお聞きしました。

連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。

──カフェを始めたきっかけを教えてください。

会社員時代から、堀口珈琲の焙煎講習に通っていたんです。7年ほど通っていたのですが、ある日堀口先生からLCFグループ(※1)のメンバーにとお声がけ頂けたんです。当時は仕事をしながらでどっちつかずな状態で通い続けていたので、「もうやるしかないだろう!」と決心しました。講習には通っていましたが、現場のオペレーションはわからなかったのでまずは焙煎をやっているカフェで修行させてもらうことにしました。まだサラリーマンとして働いていたので、仕事のない週末に1年程インターンとして勉強させてもらいましたね。焙煎の仕方や接客方法もリアルにイメージできましたし、不安な部分も相談できたのでとても価値ある時間だったと思います。

※1:堀口珈琲の代表である堀口俊英氏が主催しているリーディング・コーヒー・ファミリーの略称。

──修行は大切ですね!物件はすぐ見つかりましたか?

物件は3ヶ月くらいで見つかりました。最初は東急目黒線の急行が止まる大岡山駅などで探していたんですけど、条件に合うところを見つけらずにいたところ、西小山駅のお店でアルバイトをしていた知人から「西小山はいい街だよ!」って教えてもらいまして。実際に足を運んでみたら、隣駅である武蔵小山の再開発が影響しているのか、西小山にも個人店が増えてきていて、ギャラリーやレストランもいい雰囲気のお店が多かったんです。うちは焙煎のお店なので設備上物件条件も厳しかったのですが、煙突設置でOKなところが見つかって。本当とんとん拍子に決まりました。

──確かに焙煎をするとなると、物件の条件も厳しくなりますよね。

この物件は煙突設置をすればOKな物件だったのでよかったですけど、「焙煎をやりたい」となると、物件によってはノンスモークフィルターなど焙煎機とは別に関連機器の購入が必要になる場合もあります。物件を選ぶ際には気をつけた方がいいポイントかもしれないですね。ここはもともと整体院だったので、外から中の様子は見えない作りになっていましたが、入り口を全面ガラスに変えて、天井も打ち抜いたのですごく開放的な空間になりました。設計士さんも修行先のオーナーから紹介してもらった方なので、雰囲気も思い通りになって良かったです。 

──本当素敵な空間です!焙煎されたコーヒー豆は、店頭販売の他にオンラインでも購入できるのでしょうか?

はい、オンラインの販売はここ最近注文が増えてきています。初年度は時々注文が入る程度だったのですが、ここ最近は毎日全国各地から注文を頂いています。来店されて気に入ってくれたお客様からの注文が多いですが、雑誌などに掲載されると遠方からも注文をいただきます。あと、飲食店への卸も少しですが対応しています。

──なるほど。高品質な珈琲豆を取り扱われていますが、美味しく飲んでもらうための講習会とかはやったりしないのですか? 需要ありそうですよね。

過去にイベントとして実施したことはあったんですけど、西小山の店舗をお休みして自分がイベントに出かけるとなると、お店でコーヒーをいれられる人がいないので現状ではちょっと難しいんです。あと近隣のイベントだったらいいのですが、別のエリアのイベントに出店してもなかなか来店へつなげることはできないので。小さなお店なので、その辺を天秤にかけると現状は難しいなという結論ですね。でも美味しいコーヒーは飲んでもらいたいので、コーヒー豆を購入いただいた方には、淹れ方のカードをお配りするなど工夫はしています。 

──カードは嬉しいですね。スタッフさんは他にもいるんですか?

基本的にコーヒーをいれるのも焙煎するのも今のところ自分だけですが、他の業務もたくさんあるのでスタッフも雇っています。このお店で勉強したいという子もいるので、いずれはお任せできるように育ってくれると嬉しいですね。私自身も開業前にカフェで修行させてもらった身なので、なるべく経験できる場を増やしてあげたいと思っています。

──素晴らしいです! カフェを運営していく中で一番大変だと思うことを教えてください。

焙煎とカフェ営業を一緒にやっているので、コーヒー豆の注文が増えてくるとてんやわんやになってしまうことですかね(笑)とっても有難いことではあるんですども、今ちょうどその過渡期というか、課題をどうやって乗り越えるか考えているところです。例えば、オンラインからご注文いただいた豆をすぐにお送りしたいのですが、宅急便の集荷が16時なので、来客数がピーク時の接客対応しながら出荷の準備をして……となると一人では大変になってきました。誰かカフェ営業の方をお任せできる方がいるといいんですけどね(笑)。 

──それは大変……ひとりでできる範囲を超えちゃいますよね。逆に楽しいことは何でしょうか?

お店が賑わっている時はやっぱり楽しいですね。3年目くらいに突然来客数が増えるタイミングっていうのがあったんです。最初は苦労するよ~というのはよく聞いていましたが、1.2年目は確かに大変でした。でも3年目になって損益分岐点を超えてくると一気に楽しいことが増えてきましたね。苦労話ばっかり聞きますけど、それを超えられれば本当楽しいので、これから開業する人には「良いタイミング」が訪れるまで頑張って欲しいと思います。

──これから開業する方がしっかりとやっておくべきことがあれば教えてください。

他のお店で一度勉強することですね。イメージを持つことが非常に大切だと思います。焙煎する・しないに関わらず、お店で働いてみないと何が必要か、何を練習すべきなのかなどイメージできないんですよね。私は少しコンサル料も支払って修行させてもらっていたので、オーナーさんに時間をしっかり作ってもらえて、色々とリアルな知識を教えてもらえたのはとても有意義な時間でした。

──それは本当大事なポイントですね。では最後に、開業を目指している方にメッセージをお願いします。

イートインのカフェ運営だけだと売上的に厳しいお店も多くなると思います。何かプラスアルファの要素をあらかじめ考えておくことが必要です。うちは焙煎豆の販売ですが、焙煎じゃなくても例えば、マフィンを作って、お土産用にテイクアウトとしても販売する。そうすると一度に4~5個買ってくれるお客様もいるんですよね。店内の飲食だけで、1000円以上の客単価にするって席数も限られているから大変だけど、テイクアウトできる商品で、プラスアルファの魅力になるものがあれば単価をグッとあげることができると思うんです。周りから「カフェは厳しいよ」など後ろ向きな話を聞くこともあると思いますが、色々と試行錯誤していけば、良いタイミングが必ずやってくるので、そこを目指して頑張ってください!

【カフェ情報】
GLOBE COFFEE

http://kojincafe.com/cafes/globecoffee/

http://globecoffee.tokyo/
────
〒142-0062
東京都品川区小山5丁目25−10 平岡マンション 1B
営業時間:10:30〜19:30
電話:03-6426-2234
定休日:火曜日
広さ:12坪
客席数:13席
スタッフ:合計4名(平日2名、週末2〜3名体制)

開業無料相談のお申し込み・お問い合せはこちら
 
 

 

関連記事一覧