「Cafe OREO」のカフェのコツ|No.003

20年以上お菓子作りをしていた経験を生かし、2014年にカフェを開業した『Cafe OREO』の矢島美花さん。神奈川県横浜市のセンター南駅近くは、新しく開発された土地で、若いご夫婦から近隣の官公庁で働くサラリーマンまで様々な方が利用するカフェです。お味噌作りのワークショップやお弁当販売を始めるなど日々チャレンジしながら運営している矢島さんにカフェ経営のコツをお伺いしました。

連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。

──お店を始めた経緯を教えてください。

もともとお菓子作りが趣味で、いろんな人に配ったりしていました。そんな中ボランティア活動で知り合った方から「カフェを一緒にやらないか?」と、お声がけいただきまして。本腰入れて開業準備を始めていた時、様々な理由が重なってその声をかけてくれた方と一緒に開業できなくなってしまったんです。その頃すでに会社も辞めてしまっていたし、カフェスクールにも通っていて…開業はしたかったけれど自己資金だけでは開業には足りない状態だったので、「この先どうしよう・・・」と途方にくれていました。

──そこからどのようにして開業に至ったのでしょうか?

通っていたカフェスクールのお力も借りながら事業計画書を作り上げ、なんとか融資を受けることができました。また、最初はお手伝い程度にお願いしようと思っていた妹もメインで一緒にお店に立ってくれることになったので、無事開業することができたんです。

「自己資金だけで開業したい」という話をよく聞きますが、私としてはちゃんと融資を受けたほうがいいと思っています。どの業態もそうだと思いますが、特に個人カフェは開業してから安定するまで時間がかかります。融資を受けずにギリギリの資金でスタートしてしまうと、その安定するまでの期間に資金がショートしてしまい、生活できなくなってしまいます。実際、資金の問題でたった1年で閉店せざるを得なくなったというお店をいくつも見てきました。せっかく苦労してお店を作ったのに、それでは悲しすぎますよね。また、開業した後は融資を受けにくくなる傾向にあるので、開業前に運転資金を含めて融資を受けることをお勧めします。

──やはり個人カフェをやっていく上で、お金の部分は大事ですね。

本当そう思います。大げさに言えば、毎月20万円の赤字が出ても1年間やっていけるくらいの資金は用意しておいたほうがいいと思いますね。

──お店のコンセプトを教えてください。

手作りにこだわった安心で美味しい料理とスイーツを、イギリスのアンティーク家具に囲まれながら楽しめる空間で提供しています。特に「手作り」というポイントはオープン当初からずっと大切にしてきています。うちはコーヒーもランチタイムから全てハンドドリップで淹れてるんですよ。手間はかかるけれど、お客さんに喜んでもらうためにそこはこだわりですね。

──収益の多角化で取り組んでいることはありますか?

妹が「味噌ソムリエ」なので、お味噌のワークショップを開催しています。昨年は60名ほどの方が参加されて、おかげさまで毎年参加者が増加していて好評をいただいています。他にも地域のお花教室とか絵付け教室などにもご利用頂いています。スペース代は取らずに1人に付きワンドリンク利用でお席を使ってもらっています。あとは、毎月お店の壁を無料で写真家さんやアーティストさんたちにお貸ししています。お店の雰囲気も月ごとにガラッと変わるので、私たちはもちろん、お客様にも喜ばれています。

──無料でお貸しして、収益につながるのでしょうか?

「今度、Cafe OREOで展示します」というのをアーティストさんたちが発信してくれるので、見に来られたファンの方々がお店のお客さんになってくれるんですよ。写真をゆっくり見ていただきながら1杯のコーヒーを飲んでもらって。お金をかけた宣伝をしなくても新規のお客様が足を運んでくれるので、ギャラリーの宣伝効果はとても高いですね。常連さんも「雰囲気が変わったね」とか「素敵だね」と毎月楽しみにしくれているので、どんな宣伝よりもお店にプラスになっていると思います。

──それは素晴らしいですね。常連さんはどんな方がいらっしゃるんですか?

40~50代の主婦層が多くいらっしゃいますね。当店はドッグカフェではないのですが、もともとワンちゃんのボランティア活動をしていたこともあって、ワンちゃんの入店もOKにしています。そのため、お散歩途中の方にもご利用頂けています。

そのほかにもこのあたりは区役所や大きな病院もあるので、平日のランチタイムには官公庁にお勤めの方や、病院のお見舞いにいらっしゃった方もいらっしゃいますね。最近お弁当の販売もスタートして、店頭で少し告知しているだけでも毎日注文が入るので、これからチラシを配ったりしてPRに力を入れようと思っています。開業するにあたり、お店の周りにどのような施設があるかはとても大事なポイントになると思いますね。

──お店の看板メニューはなんですか?

横浜市都筑区には2つの養鶏場があるんですが、そのうちのひとつ「平本さんちのたまご(平本養鶏場)」を開業当初から使っています。産みたての卵を届けてもらっているので、本当に美味しいんですよ。ですのでこの「平本さんちのたまご」を使った料理が看板メニューですね。親子丼などは特に人気です。他にもランチで提供しているキッシュや、スイーツメニューも全て「平本さんちのたまご」を使っています。1つでもこだわりの食材を持つというのはポイントかもしれませんね。自信を持って提供できますし。

──カフェ運営をしていく中で一番大変なことはどんなことでしょうか?

うちの場合は、手作りにこだわっているので「仕込み」ですね。朝9時から入って11時に開店、閉店後も翌日の仕込みのために22時までお店にいるなんてこともあります。大変ではありますが、お客さんに喜んでもらうためにここは一番力を入れている部分です。その分、そういう努力はお客様にちゃんと伝わるので「OREOの料理は本当に美味しいね!」とか「このお店がなくなったら困るから、健康第一でね!」なんて言っていただける時もあって、とても嬉しいですし、そういう時はカフェ運営をしていてよかった!と思います。

──最後にこれから開業したいという方にメッセージをお願いします。

そうですね、無理しないでやり続けることが大切だと思います。自分たちが「もう嫌だなぁ」と思ったらそこでおしまいなので。私たちもまだまだ課題は山積みですが、無理しすぎないで、1つ1つ課題をクリアして経営を続けていきたいと思っています。末長く続けていくためにも、上手にバランスをとりながらやっていくことがポイントですね。

【カフェ情報】
Cafe OREO(カフェオレオ)
http://kojincafe.com/cafes/cafe-oreo/ http://cafe-oreo.com/ ────
〒224-0006
神奈川県横浜市都筑区荏田東4-8-3 バースシティ港北センター南 101
電話:045-507-6622
営業時間: 【12月~2月】10:00 – 18:00(ラストオーダー17:00)
【3月~11月】10:00 – 19:00(ラストオーダー18:00)
定休日:火曜日、第1・3月曜日
広さ:16坪
客席数:20席
スタッフ:3名(共同オーナー2名、アルバイト1名)

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