「絵音カフェ」のカフェのコツ|No.011

東京都江戸川区葛西、地元育ちのオーナーの星谷知絵さん。「育った街にカフェがあったら……」と、絵音カフェをオープンさせました。2012年にオープンして以来、途中妊娠出産を経て、子育てをしながらカフェ運営をされているママさんオーナーです。生まれた街でカフェをやる楽しさ、運営する中での苦労をお伺いしました。

連載「長くつづくカフェのコツ」
カフェをたのしくつづける秘訣を現役オーナーさんにインタビュー!これからの開業を希望するみなさんにはもちろん、今まさに店舗を運営されてるオーナーさんにとってもためになるヒントが満載です。
コンセプトや看板メニュー、また、収益の多角化や集客などをテーマにしています。

──お店を始めたきっかけを教えてください。

29歳くらいまで音楽活動を続けていたんですけど、そろそろ区切りをつける時かなと思った時、今から企業に就職するのも難しいだろうし、どうしようかと悩んでいたんです。そんな時にふと「そういえば、葛西には個人のカフェが全然ないな」と思ったんですね。そして、「ないなら自分で作ろう!」 と決意し、始めたのがきっかけです。

──すごいですね!お店のコンセプトはなんですか?

「日常にちょっとした特別を」をコンセプトにしています。電車に乗らなくてもおしゃれなカフェに行きたいなって自分自身も思っていて、気負いせずにゆっくりできる場所を作りたかったんですよね。オープンした2012年頃ってDIYでお店を作るっていうのがちょっと流行り始めた頃で、このお店も「DIYでお店を作るプロジェクト」をやっている方に依頼して作りました。2ヶ月くらい工期はかかりましたが、私も一緒に内装に携われて良かったと思います。

──すごい素敵な内装ですよね!

 ありがとうございます。友人たちと一緒にお店作りができたのは、とても楽しかったですし、いい思い出になってますね。

──お店の看板メニューを教えてください。

最初はグリーンカレーが売りでしたが、今はパンケーキが看板メニューになりました。最近はタピオカもブームなので、タピオカミルクティのパンケーキというちょっと変わったメニューも提供しています。お店をやりながら常にお客さんのニーズや世の中の流行もキャッチして、メニュー開発していますね。メニューを考えることが好きなので、実際にお客さんの反応をみれるのは楽しいです。

また、妥協せずにこだわって作らないとお客さんには好きになってもらえません。なので、パンケーキはできたての美味しさを味わってもらうために、注文を受けてから生地から作っています。その甲斐あって、わざわざこのパンケーキを食べに来てくれるお客さんも増えてきました。

──ぜひ味わってみたいです!価格の決め方などはどうしていますか?

オープンした頃は、値段が高いとお客様が離れていくかな? と思っていて、「できるだけ安く」することに重きを置いていました。でも、お店を続けていくうちに多少値段が高くなっても手間をかけてこだわったメニューにした方がお客様にも喜んでもらえるって気が付いたんです。

──そういう気づきは大切ですよね。

 結婚して、妊娠して、子供も産んで、育児をしながら「それでもカフェを続けたい」って思った時にどうするのがいいか考えていたら、自分がいいと思うものを提供しよう、そしてメニューのこだわりに見合った値段をつけよう、って考え方を変えたんです。そしたらそれが良かったのか、逆にお客さんが来てくれるようになって、常連さんも増えましたね。「金額を高くさせてもらう分、満足してもらえるようなメニューを提供しよう」って思いながらメニュー作りをしているので、それが伝わっているのはとても嬉しいです。

個人店なので、新規のお客さんを増やすことをメインに考えるのではなく、お店のことを理解してくれる常連さんをどれだけ作れるかが大事ですね。

──メニューは「自分で考えるのが好き」とおっしゃっていましたが、開業前に修行はされたのでしょうか?

昼間はパティシエとしてレストランで働き技術を身につけ、夜はお水の世界で働きました。接客が苦手だったので、その特訓ですね笑パティシエをやっていたお店では、ほぼ未経験だった私をスイーツ専任で雇ってくれたので、すごくいい経験が積めました。お金を貯めながら、調理、接客を学ぶのはとても大変でしたが、なんとか開業できる資金も用意でき、無事開業することができました。

──実際に開業する前にしっかりやっておくべきことはどんなことだと思いますか?

勉強のためにカフェ巡りをするのは大切だと思います。ベンチマークするカフェはもちろん、自分は普段行かないようなカフェとか、並ぶくらい人気のお店とか、とにかくたくさんのカフェに行きました。週に1~2回は行っていたと思います。世間は今どんなことを求めているのか?を常に考えて自分のお店にいかすことが大切ですね。

──開業してみてからの苦労はどんなことがありましたか?

これはやってみて実感したんですが、正直カフェって儲からないんですよ。好きじゃないと続けられない仕事だなと思います。忙しくても辛いし、暇でも辛い、心が休まる時がないんです(笑)。それに全部ひとりでやらないといけないから、とっても孤独。

正直、私は開業時に融資を受けていたので、「何がなんでも返済が終わる7年は続けてやる!」って意地もあってなんとか続けてきました。ただ、返済が終わった今、改めて「結局私はカフェ運営が好きで、楽しいんだな」って思ったんです。そう思わなくなったら、続けられないと思いますね。

──孤独だし、苦労もあるけど楽しいって、きっと星谷さんの天職なんでしょうね。これから開業を目指している方へメッセージをお願いします。

厳しいことを言いますがまずは「開業をしない」ことをおすすめします(笑)。そう言われてもやりたいのか、なんでそんなにやりたいのか自分自身に説いて答えがちゃんと出てから始めるのがいいと思います。思っている以上に辛いことがいっぱいですし、気持ちがないと続きませんから。ここ葛西でも様々な個人店ができては潰れていて、すごく悲しいんですよね。でも、お店をやっていれば人との繋がりはたくさんできるし、助けてくれる人ともたくさん出会えます。お店をやらなければできなかった人間関係ができていくのはとても楽しいし、嬉しいことです。あと頑張った分は、ちゃんと報われるので、努力したことが結果として返ってくるのは個人カフェの醍醐味かもしれませんね。

【カフェ情報】
絵音カフェ
https://kojincafe.com/cafes/enecafe/
http://ene-cafe.com/
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〒134-0083 
東京都江戸川区中葛西5-18-14イナガキビル1F
電話:03-6808-5276
営業時間:11時30分〜18時
定休日:月曜日
広さ:10坪
客席数:16席
スタッフ:常時2名

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